看護師の転職で年収希望を伝えるときは、希望額だけを伝えるのではなく、希望する理由・譲れない条件・給与の内訳をセットで説明します。伝える時期は、応募時の入力欄や面接で希望を聞かれたとき、内定前の条件確認の段階が適しています。
「年収を上げたい」とだけ伝えるよりも、現在の年収や経験、夜勤回数などを基準に、希望額と相談可能な範囲を示すと話し合いやすくなります。
看護師の転職で年収希望を伝える基本の言い方
まずは、次のように希望額と根拠を簡潔に伝えます。
「希望年収は、現在の経験や業務内容を踏まえて、〇〇万円前後を希望しています。これまでの病棟経験と夜勤業務の経験を生かして貢献したいと考えています。勤務条件や職務内容を含めて、ご相談できれば幸いです」
希望額を断定しすぎず、「前後」「相談したい」と添えることで、給与以外の条件も含めて確認できます。ただし、希望を低く見せるために、実際には受け入れられない金額を「いくらでもよい」と伝えるのは避けましょう。
年収希望を伝える前に整理する3つの数字
転職先に希望を伝える前に、現在の給与と希望条件を数字で整理しておくと、面接で回答しやすくなります。
現在の年収
現在の年収は、毎月の給与だけでなく、賞与、夜勤手当、残業代、資格手当などを含めた年間の総支給額で確認します。手取り額ではなく、通常は税金や社会保険料が差し引かれる前の総支給額を基準にします。
給与明細や源泉徴収票を見ながら、次の項目を分けて整理しましょう。
- 基本給
- 毎月の固定手当
- 夜勤手当・残業代
- 賞与
- 一時金や年度末手当など
希望する年収
希望年収は、現在の年収だけで決めず、転職後の業務内容や夜勤回数、役職、経験年数などを考慮して決めます。
たとえば、夜勤を増やさずに現在と同程度の収入を維持したい場合と、管理職候補として責任が増える場合では、希望額の考え方が変わります。
最低限受け入れられる条件
年収だけでなく、夜勤回数、勤務時間、通勤時間、年間休日なども含めて、最低限受け入れられる条件を決めます。最低ラインは、面接で最初から「この金額未満なら辞退します」と伝えるためではなく、自分が求人を比較するために使います。
なお、転職先に伝える希望額と、自分の中で決める最低ラインは同じである必要はありません。最低ラインをそのまま伝えると、条件交渉の余地がなくなる場合があります。
希望年収の根拠として伝えやすい内容
年収希望の根拠には、これまでの経験と、転職先で生かせるスキルを使います。単に「生活費が必要だから」と説明するより、採用後の業務との関係を示す方が、希望額を理解してもらいやすくなります。
- 急性期・慢性期・回復期などの病棟経験
- 救急対応や手術室、集中治療室での経験
- 訪問看護、透析、健診などの専門経験
- リーダー業務や新人教育の経験
- 認定看護師などの資格や専門研修
- 夜勤やオンコールに対応できること
- 特定の診療科や患者層への継続した経験
たとえば、次のように伝えられます。
「これまで〇年間、急性期病棟で勤務し、夜勤と新人指導も担当してきました。これまでの経験を生かして早期に業務へ対応できると考えているため、年収〇〇万円前後を希望しています」
ただし、経験があるから希望額が必ず認められるとは限りません。給与は、施設の給与規定、職歴の評価、担当業務、夜勤回数などによって決まるため、希望と提示額が異なる可能性はあります。
面接で「希望年収はいくらですか」と聞かれた場合
面接では、希望額だけでなく、現在の年収や転職理由と矛盾しないように答えます。回答の順番は、経験や条件の説明、希望額、相談姿勢の順にすると自然です。
「現在の年収はおよそ〇〇万円です。これまでの〇〇の経験を生かせる職務内容であれば、〇〇万円前後を希望しています。実際の業務内容や夜勤回数、手当を含めた条件を確認したうえで相談できればと考えています」
現在の年収を伝えたくない場合は、無理に詳細な内訳まで説明する必要はありません。ただし、転職先が給与水準を判断するために、年収の確認を求めることはあります。その場合は、源泉徴収票などの提出が必要か、どの段階で確認するのかを聞きましょう。
応募書類や転職エージェントに伝える場合の例文
応募フォームに希望年収を入力する場合は、金額だけでなく「相談可能」であることを短く添えます。
「希望年収:〇〇万円前後。これまでの経験と業務内容を踏まえ、勤務条件を含めて相談を希望します」
転職エージェントを利用する場合は、担当者に次の内容を具体的に伝えます。
- 現在の総支給年収
- 希望年収
- 最低限維持したい年収
- 夜勤の可否と希望回数
- 残業やオンコールの可否
- 給与が下がっても受け入れられる条件
転職エージェントに希望を伝えるだけで、求人先が必ずその条件を提示するわけではありません。求人を紹介されたら、希望条件がどの項目に反映されているのかを確認しましょう。
年収を比較するときは給与の内訳を確認する
提示された年収が現在より高く見えても、夜勤回数や残業時間、賞与の有無によって実際の条件は変わります。年収の金額だけでなく、次の項目を同じ基準で比較してください。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 基本給 | 月額、昇給の有無、経験の加算方法 |
| 賞与 | 支給回数、算定基準、初年度の扱い |
| 夜勤手当 | 1回あたりの金額、想定回数、準夜勤・深夜勤の区分 |
| 固定手当 | 資格手当、職務手当、地域手当などの条件 |
| 残業代 | 別途支給か、固定残業代が含まれるか |
| その他 | 住宅手当、通勤手当、オンコール手当など |
たとえば「年収〇〇万円以上」と書かれていても、その金額に何回分の夜勤手当が含まれるのかが不明な場合、単純に現在の年収と比較できません。採用条件通知書などで、基本給と各手当の扱いを確認してから判断します。
年収希望を伝えるときに避けたい言い方
次のような伝え方は、希望額の根拠が分からず、条件の確認もしにくくなります。
- 「とにかく今より高ければいくらでもいいです」
- 「生活が苦しいので上げてください」
- 「他の病院ならもっともらえると聞きました」
- 「最低でも〇〇万円でないと無理です」と根拠を説明しない
- 求人票や雇用条件を確認せずに、年収総額だけで判断する
他の求人を比較材料にする場合も、確認できていない情報を断定しないことが大切です。「別の求人ではこの条件でしたが、こちらではどのような給与体系でしょうか」と、比較ではなく確認の形で伝えましょう。
希望年収が通らなかった場合の確認方法
希望額がそのまま認められなかった場合は、すぐに可否を決めず、年収が低くなる理由と他の条件を確認します。基本給が低いのか、賞与が初年度だけ少ないのか、夜勤を含めない試算なのかで、判断は変わります。
次のように聞くと、条件の違いを整理できます。
「ご提示いただいた年収は、夜勤を月何回行った場合の金額でしょうか。基本給、賞与、各種手当の内訳と、入職初年度の支給条件も確認したいです」
年収の引き上げが難しい場合は、夜勤回数、入職時期、役職、勤務曜日など、別の条件を相談できることもあります。ただし、条件変更が可能かどうかは勤務先の規定によって異なるため、必ず事前に確認してください。
看護師の転職で年収希望を伝えるポイント
最初に、現在の総支給年収と給与の内訳を整理し、希望年収を経験や業務内容に結び付けて伝えます。希望額は「〇〇万円前後」と示しつつ、夜勤回数、賞与、手当を含めた条件を確認することが重要です。
転職先から提示を受けたら、年収の数字だけで決めず、基本給・賞与・夜勤手当・残業代を同じ基準で比較してください。最初に確認する項目は、提示年収に含まれる勤務条件と手当の内訳です。







