看護師の転職先の離職率は、求人票だけでは分からないことが多く、複数の情報源を照合して調べる必要があります。まずは病院の公式サイトや事業報告書を確認し、見つからなければ採用担当者や面接で「看護師の年間離職率」を質問しましょう。
看護師の転職先の離職率を調べる方法
調べる順番は、公開資料の確認、転職支援会社への確認、採用担当者への質問、面接や見学時の確認です。1つの情報だけで判断せず、数字の対象と期間をそろえて比較することが大切です。
- 病院や法人の公式サイトで離職率の記載を探す
- 病院の事業報告書・統計資料・採用資料を確認する
- 転職サイトや転職エージェントに確認する
- 応募前や面接時に採用担当者へ質問する
- 見学時に職場の雰囲気や勤務状況を確認する
1. 病院の公式サイトで離職率を確認する
最初に、転職先の公式サイトで「看護師採用」「看護部」「病院概要」「事業報告」「職員データ」などのページを探します。病院によっては、看護師の離職率、平均勤続年数、職員数、育児休業取得者数などを公開しています。
検索するときは、病院名に次の言葉を組み合わせると見つけやすくなります。
- 病院名 看護師 離職率
- 病院名 看護部 事業報告
- 病院名 看護師 職員データ
- 病院名 看護師 平均勤続年数
- 病院名 採用実績 退職者数
ただし、公式サイトに離職率が書かれていないからといって、離職率が高いとは限りません。単に公開していない可能性もあるため、未掲載の情報は採用担当者に確認します。
2. 公開されている数字の対象と期間を確認する
「離職率」という言葉があっても、すべて同じ意味とは限りません。次のような違いがあるため、数字だけで比較しないようにしましょう。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 対象者 | 看護師だけか、准看護師や看護補助者を含むか |
| 期間 | 直近1年間か、年度単位か、複数年の平均か |
| 退職者の範囲 | 定年退職、契約満了、異動、休職後の退職などを含むか |
| 分母 | 期首の職員数、期末の職員数、平均職員数のどれを使っているか |
| 区分 | 全体の離職率か、新卒看護師の離職率か |
たとえば「看護師の離職率」と「新卒看護師の1年以内離職率」は、対象が違います。転職先全体の働きやすさを知りたい場合は、既卒を含む看護師全体の数字も確認してください。
3. 事業報告書や採用資料を確認する
医療法人や公的病院では、公式サイトに事業報告書、病院年報、法人報告書などを掲載している場合があります。これらには、職員数や退職者数、平均勤続年数などが載っていることがあります。
ただし、退職者数だけが分かっても、離職率は正確に計算できない場合があります。分母となる職員数の時点や、看護師以外の職種を含むかが不明なときは、推測で比較しないでください。
仮に、ある年度の看護師の退職者数が10人、同年度の平均看護師数が200人と資料に明記されている場合は、次のように計算できます。
10人 ÷ 200人 × 100 = 5%
これはあくまで、資料が示す対象と計算方法に基づく計算例です。退職者数だけが掲載されている場合や、職員数の基準が分からない場合は、公式な離職率として扱わないようにしましょう。
4. 転職サイトや転職エージェントに確認する
転職サイトや転職エージェントは、求人票に書かれていない職場情報を持っていることがあります。登録している場合は、次のように具体的に聞きましょう。
- 看護師全体の年間離職率を把握しているか
- 直近の情報か、過去の情報か
- 病棟別の離職状況を確認できるか
- 新卒と中途採用で離職状況に違いがあるか
- 離職率ではなく、退職者数や平均勤続年数のみの情報ではないか
転職支援会社から得た情報も、必ずしも病院が公式に公表した最新の数値とは限りません。「担当者が聞いた情報」「過去の登録者から得た印象」「公開資料に基づく情報」など、根拠の種類を確認してください。
5. 面接や応募前に採用担当者へ質問する
離職率が公開されていない場合は、採用担当者に直接質問するのが最も確実な確認方法の一つです。単に「離職率は高いですか」と聞くより、対象と期間を指定すると回答を比較しやすくなります。
質問例は次のとおりです。
- 「看護師全体の直近1年間の離職率を教えていただけますか」
- 「その数字は、看護師だけを対象にしたものですか」
- 「新卒看護師と中途入職者の離職率は分かれていますか」
- 「離職率の計算期間と、退職者に含まれる範囲を教えてください」
- 「配属を希望している病棟の在籍人数と、直近1年間の退職者数を教えていただけますか」
病院が具体的な数字を回答できない場合でも、回答の仕方は判断材料になります。対象期間や集計方法を説明するのか、質問を避けるのかを確認しましょう。ただし、回答を避けたことだけで離職率が高いと断定することはできません。
離職率以外に確認したい職場の情報
離職率だけでは、退職の理由や現在の職場環境までは分かりません。次の情報も合わせて確認すると、転職後の働き方を想像しやすくなります。
- 看護師の平均勤続年数
- 職員の年齢構成
- 夜勤回数と夜勤の勤務体制
- 時間外勤務の状況
- 有給休暇の取得状況
- 新人・中途採用者への研修や教育体制
- 産休・育休から復帰した職員の人数や勤務形態
- 配属後の異動や夜勤開始までの流れ
たとえば離職率が同じでも、定年退職が多い職場と、入職後まもない職員の退職が多い職場では意味が異なります。離職率の数字だけでなく、誰が、どの時期に、どのような理由で退職しているのかを確認することが重要です。
病院見学で離職の背景を確認するポイント
病院見学では、数字に表れにくい勤務状況を確認できます。質問は特定の職員を責める形にせず、職場全体の仕組みについて聞くとよいでしょう。
- 「中途入職者は、入職後どのように業務を覚えますか」
- 「夜勤に入るまでの目安と、判断する人を教えてください」
- 「忙しい時間帯は、どのように応援に入りますか」
- 「休暇希望はどのように調整していますか」
- 「直近に入職した看護師は、どのような働き方をしていますか」
見学時は、スタッフ同士の声かけ、患者への接し方、掲示物の内容、職員が質問に答える様子なども確認できます。ただし、短時間の見学だけで職場全体を判断せず、公開資料や面接での説明と合わせて考えます。
離職率を比較するときの注意点
異なる条件の離職率を、そのまま高い・低いと比べないことが大切です。病院の規模、診療科、救急の受け入れ状況、地域、職員の年齢構成によって、離職の状況は変わります。
また、「離職率が低いから必ず働きやすい」「離職率が高いから必ず避けるべき」とも言い切れません。退職理由、欠員の補充状況、教育体制、希望する勤務条件が自分に合うかを確認してください。
口コミを参考にする場合も、投稿時期や投稿者の配属先が分からないことがあります。口コミだけで離職率を確定せず、公式資料や採用担当者の説明と照らし合わせましょう。
自分に合う転職先か判断する手順
候補の病院を比較するときは、次の手順で情報を整理すると判断しやすくなります。
- 病院名、情報源、確認日をメモする
- 離職率の対象者と集計期間を記録する
- 新卒・中途、全体・病棟別などの区分を確認する
- 退職理由、平均勤続年数、残業、夜勤などの情報を追加する
- 自分の希望条件と照らし合わせる
- 不明点を面接や見学で具体的に質問する
特に、希望する配属先が決まっている場合は、病院全体の離職率だけでなく、配属予定の病棟や部署について確認できるかを聞いておきましょう。病院全体の数字が低くても、部署によって勤務体制や人員状況が異なる場合があります。
看護師の転職先の離職率を調べるときは、まず公式サイトや事業報告書を確認し、情報がなければ採用担当者に対象期間と計算範囲を指定して質問します。数字を見つけたら、看護師全体か、新卒だけか、どの年度の情報かを確認し、平均勤続年数や勤務体制と合わせて判断しましょう。







