看護師の転職でも、退職日まで雇用関係が続いていれば、残っている有給休暇を消化できます。退職日を過ぎてから前の勤務先の有給を使ったり、転職先へ引き継いだりすることはできません。
有給消化の可否は、主に残日数と退職日までの期間、そして勤務先との調整によって決まります。
看護師の転職で有給消化できる条件
有給休暇を取得できるのは、現在の勤務先との雇用契約が続いている期間です。したがって、退職日までに取得日を設定すれば、退職前にまとめて消化できます。
たとえば、3月31日が退職日で、3月20日から31日までが勤務先の所定労働日だった場合、その期間に残っている有給休暇を充てることが考えられます。有給を使って実際に出勤しない日があっても、雇用契約上の退職日は3月31日のままです。
年次有給休暇の取得については、労働基準法第39条に定められています。詳しくはe-Gov法令検索の労働基準法で確認できます。
有給消化の日数は退職日までの勤務日数が上限
退職前に使える有給休暇の日数は、残日数だけでなく、退職日までに取得できる勤務日数にも左右されます。
| 状況 | 有給消化の考え方 |
|---|---|
| 退職日までに残日数分の勤務日がある | 残っている有給休暇をすべて取得できる可能性がある |
| 退職日までの勤務日数より残日数が多い | 退職日までに取得できる分だけとなる |
| すでに退職日を過ぎている | 前の勤務先の有給休暇は取得できない |
| 転職先で前職の有給を使いたい | 有給休暇は原則として引き継げない |
有給休暇は暦日ではなく、原則として勤務が予定されている日に取得します。夜勤のある看護師は、夜勤の勤務日を何日分の有給として扱うかが勤務先の制度によって異なる場合があるため、シフト表と残日数を照らし合わせて確認しましょう。
勤務先は有給消化を拒否できるのか
勤務先は、業務の正常な運営を妨げる場合に限り、取得時季を変更できることがあります。これを時季変更権といいます。
ただし、退職日を過ぎた日へ有給取得日を変更することはできません。そのため、退職日までに別の日へ変更できる余地がない場合、単に「退職前だから」という理由だけで一律に有給取得を禁止できるとは限りません。
病棟の人員配置や夜勤体制への影響が問題になることはありますが、引き継ぎが必要だからといって、残っている有給休暇が自動的に消滅するわけではありません。取得希望日と退職日を早めに伝え、引き継ぎの時期や方法を勤務先と調整することが大切です。
退職前に有給を消化する手順
- 給与明細や勤怠システムで、有給休暇の残日数を確認します。
- 就業規則や勤務先の申請方法を確認し、退職日までの勤務日数と照らし合わせます。
- 退職日、有給を取得したい日、最終出勤日を直属の上司や担当部署へ伝えます。
- 申請書や勤怠システムで、必要な日数を正式に申請します。
- 承認状況と最終出勤日を確認し、引き継ぎや貸与品の返却を終えます。
たとえば、退職日が3月31日で、3月10日が最終出勤日なら、3月11日以降の勤務予定日に有給を充てる形になります。土日や休日を有給として申請できるかは、勤務先の所定労働日によって異なります。
消化できなかった有給休暇は転職先へ移せる?
前の勤務先で使い切れなかった有給休暇を、転職先へ移すことは原則できません。有給休暇は勤務先との雇用関係に基づく権利であり、転職すると別の勤務先で新たに付与されるものだからです。
また、未消化分を勤務先が買い取ることも、法律上当然に請求できるものではありません。買い取りの扱いは勤務先との合意や就業規則によって異なるため、未消化分を現金化できると決めつけないようにしましょう。
転職先の入職日と有給消化期間が重なる場合
前の勤務先の有給消化中は、退職日まで前の勤務先との雇用関係が続いています。その期間に転職先で働き始める場合は、二重就業の扱いになる可能性があります。
転職先の就業規則で副業や兼業が制限されていないか、社会保険や勤務時間の扱いに問題がないかを、両方の勤務先へ確認してください。特に看護師は夜勤を含むシフト勤務になりやすいため、入職日を退職日の翌日に設定するか、有給消化期間と重ならない日程にするほうが整理しやすい場合があります。
看護師が有給消化を申し出るときのポイント
- 退職日と最終出勤日を分けて考える
- 有給の残日数と退職日までの勤務日数を確認する
- 希望日を口頭だけでなく、勤務先の方法で申請する
- 引き継ぎに必要な資料や期限を先に整理する
- 転職先の入職日と有給消化期間が重ならないか確認する
看護師の転職でも、退職日まで雇用関係が続いていれば有給消化は可能です。まずは有給の残日数、退職日までの勤務日、就業規則の申請方法を確認し、最終出勤日と有給取得日を勤務先へ具体的に伝えましょう。







