看護師が退職後に加入できる健康保険は、主に転職先の健康保険、国民健康保険、退職前の健康保険の任意継続、家族の健康保険の被扶養者の4つです。どれを選べるかは、転職先の勤務条件、家族の健康保険に入れるか、退職前の健康保険の加入期間などで決まります。
退職後に健康保険へ加入しないままにすることはできません。退職日が決まったら、転職先の入社日と、退職前の健康保険の資格喪失日を確認して、加入先を比較しましょう。
看護師が退職後に選べる4つの健康保険
| 選択肢 | 主な対象者 | 手続き先 | 確認するポイント |
|---|---|---|---|
| 転職先の健康保険 | 転職先で社会保険の加入条件を満たす人 | 転職先の勤務先 | 入社日から加入できるか |
| 国民健康保険 | 勤務先の健康保険や被扶養者にならない人 | 住んでいる市区町村 | 前年の所得や自治体によって保険料が変わる |
| 任意継続 | 退職前の健康保険に一定期間加入していた人 | 退職前の健康保険者 | 退職日の翌日から20日以内の申請が必要 |
| 家族の被扶養者 | 家族が加入する健康保険の条件を満たす人 | 家族の勤務先を通じて申請 | 収入や家族関係などの認定条件がある |
転職先の健康保険に加入する場合
退職後すぐに別の病院や訪問看護ステーションなどへ転職し、勤務先の社会保険の加入条件を満たす場合は、原則として転職先の健康保険に加入します。看護師だから特別な健康保険になるのではなく、雇用契約や勤務時間、勤務先の適用状況によって決まります。
転職先で健康保険に加入する場合でも、退職日から入社日まで空白期間があると、その期間の健康保険が別に必要です。たとえば、3月31日に退職して4月1日に入社する場合と、3月31日に退職して4月15日に入社する場合では、確認すべき期間が異なります。
国民健康保険に加入する場合
転職先の健康保険に入らない場合は、住んでいる市区町村の国民健康保険に加入する方法があります。退職前の健康保険の資格を失った後、原則として14日以内に市区町村の窓口で手続きします。
国民健康保険料は、自治体、前年の所得、加入する人数、年齢などによって異なります。退職後の現在の収入が少なくても、前年に看護師として得た給与をもとに保険料が計算されることがあるため、退職直後の負担が大きくなる場合があります。
手続きでは、健康保険資格喪失証明書、本人確認書類、マイナンバーを確認できるものなどを求められることがあります。必要書類は自治体によって異なるため、住民票のある市区町村に確認してください。
退職前の健康保険を任意継続する場合
退職前の健康保険に一定期間加入していた人は、退職後も同じ健康保険を継続できる場合があります。これを任意継続といいます。
一般的には、退職日までに継続して2か月以上健康保険に加入していること、退職日の翌日から20日以内に申請することなどが条件です。加入できる期間は最長2年間です。
任意継続では、在職中のように勤務先が保険料の一部を負担しません。そのため、退職後の保険料は在職中に給与から引かれていた金額より高くなることがあります。ただし、国民健康保険料は前年所得などで決まるため、どちらが安いかは人によって異なります。
任意継続を希望する場合は、退職前の健康保険者に申請期限と保険料を確認してください。協会けんぽ、健康保険組合、共済組合など、加入している制度によって問い合わせ先や手続き方法が異なります。
家族の健康保険の被扶養者になる場合
配偶者や親など、家族が勤務先の健康保険に加入している場合、その健康保険の被扶養者になれる可能性があります。被扶養者として認定されれば、自分で国民健康保険料や任意継続の保険料を支払わずに済む場合があります。
ただし、被扶養者になれるかどうかは、家族関係、同居・別居、今後の収入見込みなどで判断されます。一般的な収入基準として年収130万円未満が使われますが、年齢や障害の有無、加入する健康保険の規定によって基準が異なることがあります。
失業給付を受ける場合は、その日額によって被扶養者として認定されないこともあります。退職後に雇用保険の基本手当を受給する予定がある人は、家族の勤務先を通じて健康保険者へ確認してください。
どの健康保険を選ぶかの判断方法
まず、次の順番で確認すると判断しやすくなります。
- 転職先の入社日と、社会保険に加入する勤務条件を確認する。
- 家族の健康保険の被扶養者になれるか、家族の勤務先を通じて確認する。
- 退職前の健康保険者に、任意継続の条件と月額保険料を確認する。
- 住んでいる市区町村に、国民健康保険料の見込み額と必要書類を確認する。
- 空白期間がある場合は、その期間も含めて加入先と手続き期限を決める。
比較するときは、保険料だけでなく、加入できる期間、家族の扱い、申請期限も確認します。たとえば、任意継続は家族を扶養に入れられる場合がありますが、国民健康保険は世帯の加入者ごとに保険料が計算されることがあります。
退職後の健康保険で注意したい点
健康保険の資格は、原則として退職日の翌日に失われます。退職日と最終出勤日は異なることがあるため、会社から渡される資格喪失証明書などで資格喪失日を確認してください。
任意継続は申請期限を過ぎると申し込めない可能性があります。また、国民健康保険の手続きが遅れた場合でも、資格喪失日にさかのぼって保険料を請求されることがあります。保険証や資格確認書が手元にない期間でも、医療機関の受診を避けず、加入手続きの状況を医療機関と自治体に相談してください。
看護師の退職後の健康保険は、転職先の加入条件、家族の扶養条件、任意継続の保険料、国民健康保険料を比べて決めます。最初に転職先の入社日を確認し、同時に退職前の健康保険者と市区町村へ保険料・期限・必要書類を問い合わせると、空白期間を防ぎやすくなります。







