看護師の転職で雇用契約書は何を確認すればいい?

看護師の転職で雇用契約書は何を確認すればいい?

看護師の転職で雇用契約書を確認するときは、勤務場所・業務内容・雇用期間・勤務時間と夜勤・賃金・休日・退職に関する条件を優先します。求人票や面接時の説明と、実際に提示された労働条件が違う場合は、そのまま署名せず、勤務先に確認してください。

なお、雇用契約書とは別に、会社が労働条件を明示する「労働条件通知書」が交付されることがあります。書類の名前にかかわらず、働く条件を具体的に確認できる内容になっているかが重要です。

看護師の転職で雇用契約書を確認する項目

まず、次の項目を契約書や労働条件通知書で確認します。看護師の場合は、一般的な労働条件に加えて、配属先や夜勤の扱いが勤務実態と合っているかも確認が必要です。

確認項目 確認する内容
契約期間 期間の定めがあるか、更新の有無、更新の判断基準、無期雇用への転換に関する条件
勤務場所 病院、病棟、外来、施設などの配属先。異動や転勤の範囲
業務内容 看護業務の範囲、配属部署、担当業務、業務変更の範囲
勤務時間 始業・終業時刻、休憩時間、交代制の勤務時間、残業の有無
夜勤 夜勤の回数、夜勤の時間帯、夜勤手当、夜勤開始の時期
休日・休暇 休日の曜日や日数、有給休暇、夏季休暇などの特別休暇
賃金 基本給、各種手当、夜勤手当、固定残業代、締め日、支払日、昇給・賞与
退職 退職の申し出、定年、解雇事由、退職に関する手続き
社会保険など 健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険の加入

労働契約を結ぶ際に明示すべき労働条件については、労働基準法第15条と関係する省令で定められています。制度上の明示項目は改正されることがあるため、詳細はe-Gov法令検索の労働基準法で確認できます。

勤務場所と業務内容は「配属先」まで確認する

看護師の転職では、勤務先の名称だけでなく、実際に働く病棟や施設、担当業務を確認してください。たとえば「病院勤務」と書かれていても、病棟勤務なのか外来勤務なのか、将来の異動があるのかによって働き方は変わります。

確認する項目は次のとおりです。

  • 配属予定の病棟、外来、手術室、透析室、訪問部門など
  • 入職後に配属先が変更される可能性
  • 法人内の別施設への異動や応援勤務の有無
  • 業務内容を変更する可能性と、その範囲
  • 看護業務以外に担当する業務の有無

契約書に「法人が定める業務」「会社の指定する場所」などの広い表現がある場合は、実際に想定されている範囲を採用担当者へ確認し、可能であれば書面で残してもらいましょう。

勤務時間と夜勤の条件を確認する

看護師の転職で特に見落としやすいのが、夜勤と交代制勤務です。雇用契約書では、日勤だけの時間ではなく、夜勤を含む勤務パターン、休憩、残業、夜勤手当を確認します。

交代制勤務の確認項目

  • 日勤、準夜勤、深夜勤、二交代制などの勤務時間
  • 夜勤の月平均回数、夜勤開始の時期
  • 夜勤専従や夜勤免除の条件
  • 希望休や勤務希望がどの程度反映されるか
  • 休憩時間と、休憩を取れなかった場合の扱い
  • 残業の扱いと、時間外勤務の申請方法
  • オンコール、呼び出し、休日の応援勤務の有無

「夜勤あり」とだけ書かれていて、回数や手当が分からない場合は、月何回程度を想定しているのか、夜勤を断れる条件があるのかを確認します。月の夜勤回数は勤務状況によって変動することがあるため、契約上の固定回数なのか、目安なのかも聞いておくと判断しやすくなります。

給与は基本給と手当を分けて確認する

給与は求人票の「月給」だけで判断せず、基本給と手当の内訳を確認してください。月給が高く見えても、夜勤手当や固定残業代を含んでいる場合は、夜勤回数や残業時間によって実際の支給額が変わります。

給与で確認する項目

  • 基本給の金額
  • 資格手当、職務手当、地域手当などの支給条件
  • 夜勤手当の金額と、1回ごとの支給か月額か
  • 固定残業代の有無、対象となる時間数、超過分の扱い
  • 通勤手当の上限や支給条件
  • 給与の締め日と支払日
  • 昇給の有無と判断方法
  • 賞与の有無、算定期間、支給条件
  • 試用期間中に給与や手当が変わるか

たとえば「月給30万円」と記載されていても、その金額が基本給だけなのか、夜勤4回分や固定残業代を含むのかで意味が変わります。給与の総額だけでなく、何を何時間分、何回分含んでいるのかを確認してください。

固定残業代が含まれる場合

固定残業代が含まれる場合は、固定残業代を除いた基本給、対象となる時間数、対象時間を超えた残業の追加支給が明示されているかを確認します。夜勤手当と固定残業代は別の項目なので、混同しないようにしてください。

求人票と雇用契約書で給与の内訳が違う場合は、どちらが適用されるのかを勤務先に確認し、説明を記録しておきましょう。

雇用期間と契約更新の条件を確認する

正職員として採用されると思っていても、契約書では有期雇用になっていることがあります。まず、雇用期間の定めが「なし」なのか、「あり」なのかを確認してください。

有期雇用の場合は、次の項目を確認します。

  • 契約期間の開始日と終了日
  • 更新の有無
  • 更新する場合の判断基準
  • 更新回数や通算契約期間の上限
  • 更新されない場合の通知時期
  • 正職員や無期雇用への登用制度の有無

「原則更新」と書かれていても、無条件に更新されるとは限りません。更新の判断基準に、勤務成績、業務量、経営状況などが記載されていることがあります。契約終了後も働けると考えている場合は、更新の条件を確認しておきましょう。

有期労働契約が更新され、一定の要件を満たす場合には、労働者からの申し込みによって無期労働契約へ転換できる制度があります。詳しい適用条件は契約期間や更新状況によって異なるため、e-Gov法令検索の労働契約法を確認するか、勤務先に制度の適用状況を尋ねてください。

試用期間中の条件を確認する

試用期間がある場合は、期間だけでなく、試用期間中の給与、手当、社会保険、夜勤の開始時期を確認します。試用期間でも労働契約は成立しているため、「試用期間だから条件がすべて未確定」とは限りません。

  • 試用期間の長さ
  • 試用期間中の基本給や手当
  • 試用期間終了後に条件が変わるか
  • 試用期間を延長する条件
  • 試用期間中に夜勤を担当するか
  • 本採用しない場合の理由や手続き

契約書に「試用期間3か月」とあるだけで、試用期間中の給与や勤務内容が分からない場合は、入職前に確認してください。

休日・有給休暇・退職条件を確認する

休日は「週休2日制」と「完全週休2日制」で意味が異なるため、休日の決まり方を具体的に確認します。看護師の場合は、土日固定休ではなくシフト制のこともあるため、月の休日数や希望休の扱いも重要です。

  • 週の休日数または年間休日数
  • 休日の曜日やシフトの決め方
  • 希望休の申請方法
  • 年次有給休暇の付与日数と付与時期
  • 夏季休暇、年末年始休暇、リフレッシュ休暇などの有無
  • 退職を申し出る期限
  • 定年年齢と再雇用制度

有給休暇については、入職直後に付与されるのか、一定期間勤務後に付与されるのかを確認します。法定の年次有給休暇とは別に、勤務先独自の休暇制度が設けられていることもあります。

社会保険と福利厚生の適用時期を確認する

健康保険、厚生年金、雇用保険などに加入する場合でも、適用開始日や加入条件を確認してください。正職員かパート・契約職員か、勤務時間や勤務日数がどの程度かによって扱いが変わる場合があります。

確認する項目は次のとおりです。

  • 健康保険と厚生年金の加入
  • 雇用保険の加入
  • 労災保険の適用
  • 加入開始日
  • 退職金制度の有無と対象者
  • 住宅手当、職員寮、託児所、食事補助などの利用条件

福利厚生は「制度がある」だけでなく、正職員のみ対象なのか、試用期間中も利用できるのか、自己負担はいくらかを確認しましょう。書類に記載がない制度を、求人票の説明だけで利用できると判断しないことが大切です。

求人票や面接の説明と違うときの対応

求人票は募集時の情報であり、最終的な労働条件は雇用契約書や労働条件通知書で確認します。ただし、書面の条件が面接時の合意と違う場合は、署名前に差異を確認してください。

  1. 求人票、面接時のメール、採用通知など、説明された条件を整理する。
  2. 雇用契約書で違っている項目に印を付ける。
  3. 採用担当者に「求人票では夜勤手当が1回いくらと説明されましたが、書面では金額が分かりません」など、項目を具体的に質問する。
  4. 回答内容をメールなどの記録に残し、必要なら書面の修正を依頼する。
  5. 納得できない条件がある場合は、署名や入職の判断を急がない。

特に、給与、夜勤回数、配属先、雇用期間、休日、固定残業代は、口頭の説明だけで済ませない方が安全です。条件が確定したら、修正後の書面やメールを保管してください。

雇用契約書に納得できないまま署名した場合

署名した後でも、実際の勤務条件が契約書と違う場合や、労働条件について疑問がある場合は、まず勤務先に事実関係を確認します。契約書、給与明細、勤務表、メールなど、条件を確認できる資料を保管しておくと説明しやすくなります。

労働時間、賃金、解雇、退職などについて勤務先との確認だけでは解決しない場合は、厚生労働省の総合労働相談コーナーや、地域の労働基準監督署などに相談できる場合があります。相談先によって対応できる内容が異なるため、契約書と関係資料を持って、事実を時系列で説明してください。

看護師の転職で確認する順番

入職前は、次の順番で確認すると条件の見落としを減らせます。

  1. 雇用形態と契約期間を確認する。
  2. 配属先と業務内容が希望と合っているか確認する。
  3. 勤務時間、夜勤、休日の実際の働き方を確認する。
  4. 基本給、手当、夜勤手当、固定残業代の内訳を確認する。
  5. 試用期間、社会保険、福利厚生の適用条件を確認する。
  6. 求人票や面接時の説明と違う点があれば、署名前に書面で確認する。

看護師の転職で雇用契約書を見るときは、月給の金額だけでなく、夜勤を含めた勤務時間と手当の仕組みまで確認することが重要です。まずは「配属先・夜勤・給与内訳・契約期間」の4点を求人票や面接時の説明と照らし合わせ、違いがあれば入職前に勤務先へ具体的に確認してください。