看護師が非常勤へ転職して仕事を掛け持ちすることはできる?

看護師が非常勤へ転職して仕事を掛け持ちすることはできる?

看護師が非常勤へ転職して、別の職場と仕事を掛け持ちすることは可能です。ただし、勤務先の就業規則や雇用契約で副業・兼業が制限されている場合があり、勤務時間、社会保険、税金、守秘義務にも注意が必要です。

看護師が非常勤で仕事を掛け持ちできる条件

掛け持ちを始める前に、次の条件を確認できれば、複数の医療機関や介護施設などで働ける可能性があります。

  • 現在の勤務先と新しい勤務先が、副業・兼業を認めている
  • 雇用契約上、勤務先の許可や届出が必要な場合に手続きをしている
  • 勤務時間が重ならず、無理のないシフトを組める
  • 看護師免許や各職場で求められる資格・経験の条件を満たしている
  • 守秘義務や個人情報保護に違反しない

法律上、非常勤看護師の掛け持ちが一律に禁止されているわけではありません。ただし、病院や訪問看護ステーションなどによっては、専従勤務を求めたり、他施設での勤務を許可制にしたりすることがあります。

まず就業規則と雇用契約を確認する

掛け持ちができるかどうかは、勤務先の就業規則と雇用契約の内容によって変わります。特に、次のような記載を確認してください。

  • 副業・兼業の禁止
  • 副業をする場合の事前許可や届出
  • 競業避止や同業他社で働く場合の制限
  • 守秘義務や個人情報の取り扱い
  • 労働時間や勤務日の制限

就業規則に「副業禁止」と書かれている場合は、自己判断で掛け持ちを始めないことが大切です。違反すると、勤務先とのトラブルや処分につながる可能性があります。

一方で、副業を制限する規定があっても、勤務先の業務に支障がないか、秘密が漏れるおそれがないかなどを理由に、個別の許可制としている場合があります。転職先の面接や採用後の手続きで、掛け持ちを希望していることを正確に伝えましょう。

掛け持ちする勤務先の組み合わせを確認する

看護師の非常勤勤務では、勤務先の種類によってシフトや業務上の制約が異なります。たとえば、次のような組み合わせが考えられます。

組み合わせ 確認したい点
病院とクリニック 診療科、勤務時間、夜勤の有無、同業務での情報管理
病院と訪問看護 オンコール対応、移動時間、訪問先の個人情報管理
医療機関と介護施設 必要な経験、担当業務、勤務日や夜勤の重なり
通常の非常勤と単発・派遣勤務 派遣元との契約、勤務先ごとの就業条件、収入の変動

同じ日に複数の勤務を入れる場合は、移動時間と休憩時間も含めて考えます。勤務間の時間が短いと、遅刻や体調不良につながりやすく、患者への安全なケアにも影響するおそれがあります。

労働時間は勤務先ごとではなく全体で考える

複数の勤務先で働く場合、労働時間や休息時間をそれぞれの職場だけでなく、働く本人の全体の予定として管理する必要があります。

たとえば、日中に病院で勤務した後、夜勤や長時間の勤務を続けて入れると、十分な休息を取れないことがあります。看護業務は判断力や集中力が求められるため、法律上勤務できるかだけでなく、安全に働けるシフトかを確認してください。

シフトを決めるときは、次の内容を一覧にすると管理しやすくなります。

  • 勤務先ごとの勤務日と勤務時間
  • 通勤・移動にかかる時間
  • 夜勤、オンコール、残業の有無
  • 勤務間の休息時間
  • 急なシフト変更が起きた場合の連絡方法

勤務先が複数になることを、各職場の責任者に共有する必要がある場合もあります。雇用契約を結ぶ前に、勤務可能な曜日と時間を具体的に伝えましょう。

社会保険と雇用保険は勤務条件によって変わる

掛け持ちをすると、健康保険、厚生年金、雇用保険の扱いが変わることがあります。加入の要否は、勤務時間、勤務日数、契約期間、勤務先の規模などによって決まるため、「非常勤だから加入しない」とは限りません。

複数の勤務先で社会保険の加入条件を満たす場合は、勤務先ごとの手続きに加えて、加入先を選ぶための届出が必要になることがあります。勤務先が変わると扱いも変わるため、採用担当者や年金事務所に確認してください。

雇用保険についても、主たる勤務先での週の所定労働時間や雇用見込みなどにより判断されます。勤務先を掛け持ちしていることだけで、複数の職場で同時に雇用保険へ加入できるとは限りません。

社会保険や雇用保険の条件は制度改正の影響を受けるため、契約前に各勤務先の担当者へ次の点を確認すると安心です。

  • 健康保険・厚生年金の加入対象になるか
  • 雇用保険の加入対象になるか
  • 複数の勤務先で加入条件を満たした場合の手続き
  • 扶養の範囲を維持したい場合の収入条件

掛け持ちの収入には税金の手続きも必要

複数の勤務先から給与を受け取る場合、年末調整や確定申告の扱いが変わることがあります。一般的には、年末調整を受ける勤務先を一つにし、それ以外の勤務先から受け取った給与については、所得の状況に応じて確定申告が必要になることがあります。

必要かどうかは、年間の給与額や源泉徴収の状況などによって異なります。各勤務先から受け取る源泉徴収票を保管し、年末に収入を合算して確認してください。

住民税の納付方法によっては、副業分の収入が勤務先に伝わることもあります。勤務先に知られずに掛け持ちできると考えず、就業規則に従って申告したうえで、税金の扱いは自治体や税務署に確認することが大切です。

掛け持ちが向いている看護師と注意が必要なケース

掛け持ちが向いているケース

  • 曜日や時間を固定して働きたい
  • 病院と訪問看護など、異なる分野を経験したい
  • 一つの職場だけでは収入や勤務日数が足りない
  • 子育てや介護などに合わせて勤務先を分けたい
  • 転職先を比較しながら、長く働ける職場を探したい

慎重に検討したいケース

  • 夜勤が多く、睡眠時間を確保しにくい
  • 勤務先のどちらかで残業やオンコールが発生しやすい
  • 通勤時間が長く、勤務間の移動が難しい
  • 体調や家庭の事情で急な休みが起きやすい
  • 職場ごとの看護手順や電子カルテの違いに慣れる必要がある

掛け持ちによって収入が増えても、移動時間や社会保険料、税金、体力的な負担が増えることがあります。時給だけで決めず、勤務時間と移動時間を合わせた負担で比較しましょう。

掛け持ちを始める前に確認する手順

  1. 就業規則と雇用契約を確認する。副業の可否、許可・届出の要否、勤務時間の制限を確認します。
  2. 勤務先の担当者に掛け持ちの予定を伝える。勤務日、勤務時間、夜勤やオンコールの有無を具体的に説明します。
  3. 勤務条件を一覧にする。時給だけでなく、交通費、勤務日数、休憩、移動時間、残業の扱いを比べます。
  4. 社会保険と雇用保険の加入条件を確認する。勤務先ごとの契約時間をもとに、担当者へ確認します。
  5. 税金の手続きを確認する。年末調整をする勤務先、源泉徴収票の受け取り、確定申告の要否を確認します。
  6. 無理のないシフトで契約する。勤務間の休息と、急な勤務変更に対応できる余裕を残します。

特に確認しないまま働き始めやすいのが、社会保険と勤務先への申告です。採用が決まった時点で、掛け持ちを前提にした契約内容になっているかを確認してください。

まとめ

看護師が非常勤へ転職して仕事を掛け持ちすることは、勤務先の許可や就業規則、勤務時間、社会保険・税金の条件を満たせば可能です。

最初に行うことは、現在の勤務先と転職先の就業規則・雇用契約を確認し、掛け持ちする予定を担当者へ伝えることです。そのうえで、勤務時間と休息を確保できるか、保険や税金の手続きが必要かを確認してから契約しましょう。