看護師の転職後に始まる研修が、雇用開始後の勤務として行われるなら、原則として給料は支払われます。とくに、病院や施設が参加を義務付け、時間や場所を指定し、業務に必要な知識・手順を学ぶ研修は、労働時間として扱われる可能性が高いです。
ただし、雇用契約の開始前に任意で参加する説明会や、参加しなくても不利益を受けない自主的な勉強会は、同じ扱いにならないことがあります。
転職後の研修期間に給料が出る主なケース
次のような研修は、通常の勤務時間と同じように賃金の支払いが必要になると考えられます。
- 雇用契約の開始日以降に実施される
- 病院や施設から参加を指示されている
- 参加しないと勤務できない、または不利益を受ける
- 勤務先が研修の日時・場所・内容を決めている
- 看護業務や院内ルールを学ぶために必要な研修である
たとえば、入職後に行われる電子カルテの操作研修、感染対策研修、看護手順の説明、病棟オリエンテーションなどです。名称が「研修」や「オリエンテーション」であっても、実質的に勤務先の指揮命令を受けて参加しているなら、労働時間に当たるかどうかで判断します。
賃金の支払いに関係する基本的なルールは、労働基準法に定められています。実際の扱いは、雇用契約の内容や研修への参加方法によって変わります。
研修中も通常の給料が支払われるとは限らない
研修期間中に賃金が支払われる場合でも、必ずしも本採用後と同じ月給になるとは限りません。雇用契約書や労働条件通知書に、研修期間中の賃金、試用期間中の待遇、手当の扱いが記載されているかを確認してください。
| 状況 | 給料の考え方 |
|---|---|
| 雇用開始後の必須研修 | 原則として労働時間に含まれ、賃金の支払いが必要 |
| 雇用開始前の任意参加の説明会 | 雇用契約や参加の強制があるかによって異なる |
| 研修期間中の試用期間 | 契約で定めた賃金が支払われる。最低賃金を下回ることはできない |
| 研修後に行う通常の看護業務 | 研修ではなく勤務として賃金の対象になる |
研修期間だからという理由だけで、無給にしたり、都道府県の最低賃金を下回る金額にしたりすることはできません。最低賃金については、最低賃金法の対象になります。
給料が出ない可能性がある研修とは
雇用契約の開始前で、参加が完全に任意であり、参加しなくても採用や勤務条件に影響しない場合は、必ずしも賃金が発生するとは限りません。
ただし、「自由参加」と案内されていても、実際には参加しないと採用されない、勤務開始が認められない、評価が下がるといった扱いがあるなら、任意の研修とは言い切れません。参加を断れるか、不参加による不利益があるかを確認する必要があります。
また、雇用開始前であっても、勤務先の指示で実際の業務を行った場合は、単なる研修ではなく労働として扱われる可能性があります。
研修の給料を判断するための確認手順
- 雇用契約の開始日を確認する。内定日ではなく、労働条件通知書や雇用契約書に記載された入職日を確認します。
- 研修への参加が義務か確認する。「必須」「全員参加」「欠席すると勤務できない」などの案内があるかを見ます。
- 研修中の賃金額を確認する。基本給、時給、手当、試用期間中の待遇がどのように定められているかを確認します。
- 研修時間の記録を残す。日時、場所、研修内容、参加を指示した人、実際の終了時刻をメモし、メールや案内文も保存します。
- 勤務先に書面で確認する。「この研修は雇用開始後の勤務扱いか」「賃金の計算方法は何か」「給与の何月分に含まれるか」を人事担当者に尋ねます。
研修後にそのまま残って記録作成や看護業務を行った場合、その時間も勤務時間として記録しておくことが大切です。出退勤記録と給与明細を照らし合わせ、研修時間が反映されているか確認しましょう。
研修中の給料が支払われないときの対応
まずは、雇用契約書、研修案内、勤務表、タイムカード、給与明細をそろえ、勤務先に計算方法を確認します。単なる記載漏れや、翌月払いの扱いである可能性もあるため、最初から未払いと断定せず、対象期間と金額を具体的に尋ねると確認しやすくなります。
雇用後の必須研修なのに無給とされている、研修時間が勤務記録から除かれている、最低賃金を下回っているといった問題が解決しない場合は、地域の労働基準監督署や総合労働相談コーナーへの相談を検討できます。
看護師の転職後の研修期間も、雇用開始後に勤務先の指示で参加する研修なら、原則として給料の支払い対象です。判断のポイントは、「雇用契約の開始後か」「参加が義務か」「勤務先の指揮命令下にあるか」の3点です。まずは雇用契約書と研修案内を確認し、研修中の賃金と給与への反映方法を勤務先に確認してください。







