看護師でも、失業保険(雇用保険の基本手当)の受給条件は一般の離職者と同じです。主な条件は、離職前に一定期間雇用保険へ加入していたこと、働く意思と能力があり、ハローワークで求職申込みをすることです。
ただし、すでに次の病院や施設への入職が決まっている場合、すぐに働けない状態の場合、退職理由が自己都合か会社都合かによって、受給開始時期や手続きが変わります。
看護師が失業保険を受け取るための主な条件
失業保険を受け取るには、次の条件をすべて満たす必要があります。
- 退職前に雇用保険へ加入していた
- 現在、仕事に就いていない
- 働く意思と能力がある
- 積極的に仕事を探している
- 所定の期間、雇用保険の被保険者期間がある
- ハローワークで求職申込みを行い、失業の認定を受ける
看護師免許を持っていることや、病院・クリニック・介護施設など勤務先の種類は、基本的な受給条件そのものには影響しません。雇用形態や雇用保険への加入状況、退職理由などが重要です。
雇用保険に加入していた期間の条件
原則として、離職前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上必要です。1か月として数えられるには、原則として賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上、または労働時間が80時間以上ある必要があります。
たとえば、常勤看護師として1年以上勤務していて雇用保険に加入していた場合は、期間の条件を満たす可能性があります。ただし、勤務日数や雇用保険の加入状況によって数え方が変わるため、実際の判定は離職票などをもとにハローワークが行います。
会社都合などで離職した場合
倒産、解雇、雇止めなど、本人の意思とは異なる理由で離職した場合は、離職前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あれば、受給資格を得られる可能性があります。
ただし、退職理由が会社都合に当たるか、特定受給資格者や特定理由離職者に該当するかは、離職の事情を確認したうえでハローワークが判断します。
「仕事を探している状態」であることが必要
失業保険は、退職した人全員に支給されるものではありません。すぐに働ける状態で、就職するために求職活動をしている人が対象です。
看護師の場合、次のような状態では、すぐに基本手当を受け取れないことがあります。
- 次の病院や施設への入職日が決まっていて、実際には仕事を探していない
- 病気やけがですぐに働けない
- 妊娠、出産、育児、介護などで、すぐに就職できない
- しばらく休む予定で、就職活動をしていない
- 自営業の準備や開業を優先している
一方、転職先を探しながら退職し、希望する勤務条件に合う病院や施設へ応募できる状態であれば、受給資格を満たす可能性があります。夜勤の可否、日勤のみ、病棟・外来・訪問看護などの希望条件があっても、それだけで失業保険の対象外になるわけではありません。
看護師の退職理由で受給開始時期が変わる
退職理由は、失業保険の受給開始時期や給付日数に影響します。離職票に記載された退職理由に異議がある場合は、そのまま同意せず、実際の事情をハローワークへ説明してください。
| 退職の例 | 受給開始への影響 |
|---|---|
| 自己都合退職 | 7日間の待期期間に加え、給付制限が行われる場合がある |
| 解雇、倒産、雇止めなど | 自己都合退職とは異なり、給付制限がない場合がある |
| 病気、家族の介護などやむを得ない事情による退職 | 事情によっては、特定理由離職者などに該当する可能性がある |
自己都合で退職した場合、2025年4月1日以降の退職では、原則として7日間の待期期間後に1か月の給付制限があります。ただし、過去の受給状況や退職理由によっては、給付制限が異なることがあります。
「夜勤が多すぎた」「心身の負担が大きかった」「勤務先から退職を勧められた」などの事情がある場合でも、自己都合か会社都合かが自動的に決まるわけではありません。勤務記録、上司とのやり取り、診断書などが判断材料になることがあるため、具体的な事情をハローワークで伝えます。
転職先が決まっている看護師は受給できる?
すでに転職先が決まり、入職までの期間が短い場合は、失業保険の基本手当を受け取れないことがあります。基本手当は、就職しようとする意思と、実際に求職活動をしていることが前提だからです。
ただし、内定を辞退された、入職日が延期された、採用が取り消されたなどの事情で、現在は仕事に就いておらず、改めて仕事を探している場合は、受給資格の判断が変わる可能性があります。
転職先が決まっている場合は、入職日、雇用契約の締結状況、就職活動の実態を整理して、ハローワークに確認してください。内定があるだけで必ず受給できる、または必ず受給できないと一律には判断できません。
退職後すぐに働けない看護師はどうする?
病気やけが、妊娠・出産、育児、家族の介護などで30日以上続けてすぐに働けない場合は、基本手当をすぐに受け取るのではなく、受給期間の延長を申請できることがあります。
受給期間は原則として離職日の翌日から1年間ですが、一定の理由で働けない期間がある場合は、受給期間を延長できる可能性があります。申請期限や必要書類は理由によって異なるため、離職票を受け取ったら早めにハローワークへ相談します。
「働けない状態」と「就職活動をしない状態」は、失業保険の手続き上、同じ扱いではありません。すぐに働けない理由がある場合は、無理に求職活動を始めず、受給期間の延長に該当するかを確認してください。
失業保険の手続きに必要なもの
一般的には、次の書類などを持って、住所地を管轄するハローワークで手続きをします。
- 離職票1・2
- マイナンバーカードなど、マイナンバーを確認できるもの
- 本人確認書類
- 写真
- 本人名義の預金口座が分かるもの
必要書類や写真の扱いは変更されることがあるため、手続き前に管轄のハローワークへ確認してください。離職票が届かない場合は、勤務先への依頼状況を確認したうえで、ハローワークに相談できます。
看護師が退職後に行う手続きの順番
- 勤務先から離職票を受け取る
- 離職票の退職理由や氏名、勤務期間などを確認する
- 住所地を管轄するハローワークで求職申込みを行う
- 受給資格の決定を受け、雇用保険受給説明会などの案内を確認する
- 指定された認定日にハローワークへ行き、求職活動の実績と失業状態を申告する
- 失業の認定後、指定口座への支給を待つ
求職活動の回数や認定日の扱いは、受給資格決定後に案内される内容に従います。看護師求人へ応募した場合だけでなく、職業相談や求人紹介などが求職活動として認められることもありますが、認定対象になるかはハローワークで確認してください。
失業保険の受給条件を判断するチェックポイント
自分が対象になりそうかを確認するときは、次の順番で整理すると判断しやすくなります。
- 退職日の翌日から、すぐに働ける状態か
- 転職先が決まっておらず、実際に仕事を探しているか
- 退職前2年間に、雇用保険の被保険者期間が12か月以上あるか
- 会社都合などの場合、退職前1年間に6か月以上あるか
- 離職票の退職理由が実際の事情と一致しているか
特に、パートや短時間勤務の看護師は、雇用保険に加入していたかを給与明細や雇用契約書で確認します。勤務先が複数ある場合や、過去の離職期間がある場合の被保険者期間の数え方は、ハローワークで確認するのが確実です。
看護師の転職でも、失業保険の受給条件は「雇用保険の加入期間」「すぐ働ける状態」「求職活動の有無」「退職理由」で決まります。まずは離職票を確認し、退職後にすぐ就職できるなら、住所地を管轄するハローワークで求職申込みと受給資格の判定を受けてください。







