看護師の転職で現職に退職を切り出すときは、まず直属の上司に「退職を決めた」という結論を、落ち着いて直接伝えます。転職先の条件や不満を詳しく説明するより、退職希望日と引き継ぎへの配慮を簡潔に示すことが大切です。
切り出す時期は、転職先の入職日や現職の就業規則を確認してから決めましょう。内定を承諾する前に退職を伝えると、転職そのものが確定していない状態で現職を離れる話になるため、基本的には避けたほうが安心です。
看護師が退職を切り出す基本の順番
退職の話は、直属の上司に最初に伝えます。看護師の場合は、師長や看護部長など、職場の規定で退職相談の窓口になっている人を確認してください。
- 転職先の内定、入職日、雇用条件を確認する
- 現職の就業規則で、退職の申し出時期や手続きを確認する
- 直属の上司に面談の時間を取ってもらう
- 退職の意思と希望日を伝える
- 退職届や引き継ぎなど、職場の手続きを進める
同僚や先輩に先に話すと、上司が本人から聞く前にうわさが広がることがあります。特別な事情がない限り、最初の相談先は直属の上司にしましょう。
退職を切り出すときの伝え方
切り出すときは、相談ではなく「退職を決めた」という意思が伝わる表現を使います。「辞めようか迷っています」と伝えると、引き止めや条件変更の相談として受け取られる可能性があります。
面談では、次のように伝えると自然です。
「お時間をいただきありがとうございます。突然で申し訳ありませんが、○月○日を目安に退職したいと考えています。転職先も決まり、今後の働き方を見直すことにしました。業務に支障が出ないよう、引き継ぎは責任を持って進めます。」
まだ転職先の入職日を確定できていない場合は、次のように希望時期を伝えます。
「転職に伴い、退職を希望しています。現時点では○月末ごろを考えていますが、就業規則やシフトへの影響も踏まえて相談させてください。」
ただし、退職するかどうかを決めていない段階では、この言い方を使わないでください。退職の意思が固まってから、具体的な日付を相談しましょう。
退職理由はどこまで話せばよいか
退職理由は、今後の方向性に焦点を当てて簡潔に話せば十分です。職場への不満をすべて伝える必要はありません。
| 状況 | 伝え方の例 |
|---|---|
| 他の病院や施設へ転職する | 「今後は別の環境で経験を広げたいと考えました」 |
| 診療科や業務内容を変えたい | 「以前から関心のある分野に挑戦することにしました」 |
| 勤務時間や働き方を見直したい | 「今後の生活との両立を考え、働き方を変えることにしました」 |
| 人間関係や待遇に不満がある | 「今後のキャリアや働き方を考えた結果、転職を決めました」 |
「給料が低い」「師長と合わない」「忙しすぎる」など、事実であっても不満をそのまま並べると、話し合いが退職理由の追及に偏ることがあります。詳しい事情を聞かれた場合も、感情的にならず、退職の意思が変わらないことを伝えましょう。
引き止められたときの返答
引き止められた場合は、感謝を伝えたうえで、退職の意思が変わらないことを繰り返します。改善案を提示されても、転職すると決めているなら、その場で迷ったような返答をしないことが重要です。
「お気持ちはありがたいです。ただ、すでに今後の転職を決めているため、退職の意思は変わりません。ご迷惑をおかけしますが、退職に向けた手続きを進めさせてください。」
「もう少し考えます」と答えると、退職の相談が保留になることがあります。考え直す可能性がないなら、はっきりと断りましょう。
よくある引き止めへの返答例
- 「人手不足だから困る」:
「ご迷惑をおかけすることは承知しています。できる限り引き継ぎを行いますが、退職の意思は変わりません」 - 「給与や勤務を改善する」:
「ご提案はありがたいのですが、待遇だけを理由に決めた転職ではないため、予定どおり退職したいです」 - 「もう少し続けてから考えては」:
「十分に考えたうえで決めました。退職日までの業務を責任を持って行います」 - 「次の職場はどこか」:
「転職先の詳細については、必要な手続きが整うまで控えさせてください」
退職希望日はどう決めるか
退職希望日は、転職先の入職日、現職の就業規則、残っている有給休暇、夜勤を含むシフト作成時期を確認して決めます。看護師は夜勤や受け持ち患者の引き継ぎがあるため、一般の事務職よりも勤務調整に時間がかかる場合があります。
ただし、職場の都合だけで退職時期を無期限に延ばす必要はありません。就業規則に記載された手続きと、雇用契約の内容を確認したうえで、転職先の入職日に間に合う日程を上司と調整しましょう。
退職日と最終出勤日は同じとは限りません。有給休暇を使う場合や、休日を挟む場合は、最終出勤日が退職日より前になることがあります。人事担当者に、退職日、有給休暇、社会保険の扱いを確認してください。
忙しい師長に話すタイミング
師長が勤務中に忙しくしていても、廊下やナースステーションで突然話し始めるのは避けます。まず「退職についてお話ししたいことがあります。面談のお時間をいただけますか」と声をかけ、周囲に聞かれない時間と場所を設定してもらいましょう。
夜勤明けや急変対応の直後など、相手の負担が大きい時間帯もできるだけ避けます。勤務開始直後の申し送り前後や、休憩に入る直前も落ち着いて話しにくいため、面談の時間を事前に確保するのが安全です。
退職の話をメールや電話でしてもよいケース
基本は対面で伝えますが、体調不良、長期休暇、遠方勤務などで直接会うことが難しい場合は、まずメールや電話で面談の機会を依頼します。メールだけで退職の意思を一方的に伝えると、重要な手続きや日程の確認が不足することがあります。
面談依頼のメールは、次のように短く書けます。
件名:面談のお願い
「お疲れさまです。今後の勤務についてご相談したいことがあり、面談のお時間をいただけますでしょうか。○日または○日の勤務後を希望しています。ご都合のよい時間をお知らせください。」
退職届の提出方法や、やむを得ず出勤できない事情がある場合は、職場の人事担当者にも確認してください。
退職を伝える前に準備しておくこと
面談で話がぶれないよう、次の内容を紙やスマートフォンのメモに整理しておきます。
- 退職の意思が固まっているか
- 希望する退職日と、転職先の入職日
- 就業規則に記載された退職手続き
- 有給休暇の残日数と取得希望
- 夜勤、委員会、受け持ち患者などの引き継ぎ事項
- 退職理由を一言で説明する表現
転職先の名称や給与などを聞かれても、すべて答える必要はありません。転職先に関する情報は、入職前に現職へ共有してよい範囲を自分で決めておきましょう。
退職届を出す前に確認したい注意点
退職届を提出する前に、退職日と提出先を確認してください。職場によって、師長に提出するのか、看護部や人事部を経由するのかが異なります。指定の書式がある場合は、それを使います。
また、転職先の入職日が確定していない状態で退職届を提出するのは慎重に判断しましょう。退職後の収入や社会保険、入職できなかった場合の生活への影響も確認しておく必要があります。
退職の時期や手続きについて職場との話し合いが難しい場合は、雇用契約書、就業規則、職場から受けた説明を手元に置いて、人事担当者や公的な労働相談窓口へ相談してください。個別の事情によって適用されるルールが異なるため、周囲の事例だけで判断しないことが大切です。
看護師の退職の切り出し方で大切なこと
最初に行うことは、転職先の入職日と現職の就業規則を確認し、直属の上司との面談時間を取ることです。面談では「退職したい」ではなく、「○月○日を目安に退職すると決めた」と結論から伝えます。
理由は簡潔にし、引き継ぎやシフト調整には協力する姿勢を示します。ただし、引き止められても退職の意思が変わらないなら、感謝と配慮を伝えながら、同じ結論を落ち着いて繰り返しましょう。







