看護師の転職面接で退職理由を聞かれたら、事実を簡潔に伝えたうえで、転職先で実現したいことにつなげて答えます。前職への不満だけで終わると否定的な印象になりやすいため、「退職を考えた理由」よりも「次の職場でどう働きたいか」を中心に話すことが大切です。
退職理由の答え方は「理由・行動・転職先で実現したいこと」の順番
退職理由は、次の3段階で組み立てると伝わりやすくなります。
- 退職を考えた理由を事実に沿って簡潔に話す
- その状況に対して、これまで取り組んだことや考えたことを伝える
- 転職先で身につけたいこと、貢献したいことにつなげる
たとえば、「急性期看護の経験を積みたい」という転職理由なら、次のように答えられます。
「これまで慢性期病棟で患者さんの療養支援に携わってきました。勤務を続けるなかで、急変時の対応や術後管理など、より幅広い看護経験を積みたいと考えるようになりました。これまでの患者さんやご家族への支援経験を生かしながら、急性期看護の知識と技術を身につけたいと考え、転職を希望しています」
退職理由と志望動機は別々に考えるのではなく、「なぜ辞めるのか」と「なぜこの職場を選ぶのか」がつながるようにすると、転職の目的が伝わります。
退職理由別の答え方と例文
人間関係が理由の場合
人間関係のトラブルをそのまま詳しく話すのではなく、職場環境や連携に関する希望として伝えます。
「前職ではスタッフ間の情報共有や連携に課題を感じる場面がありました。自分から確認や声かけを行うよう努めましたが、よりチームで協力しながら患者さんを支えられる環境で働きたいと考え、転職を決めました。貴院でも報告・連絡・相談を徹底し、周囲と協力して業務に取り組みたいと考えています」
特定の職員を名指ししたり、「師長と合わなかった」「職場の人がひどかった」と断定したりするのは避けましょう。採用担当者は、入職後も人間関係の問題が起きたときに協調して働けるかを見ています。
給与や待遇が理由の場合
給与だけを理由にすると、条件が合わなければすぐに辞める印象を与える可能性があります。待遇への不満があっても、働き方や仕事内容の希望と組み合わせて説明します。
「これまでの経験を生かして、より専門性を高められる環境で働きたいと考えています。業務内容や役割に見合った評価を受けながら、長く勤務できる職場を希望し、転職を考えました。貴院では〇〇の経験を生かして業務に貢献し、必要な知識も継続して学びたいと考えています」
現在の給与と希望額を聞かれた場合は、求人票や雇用条件を確認したうえで、経験年数や夜勤回数などの条件を含めて答えます。根拠なく「もっと高い給与で働きたい」とだけ伝えるのは避けてください。
残業や夜勤など勤務条件が理由の場合
「楽な仕事をしたい」と受け取られないよう、継続して働くために必要な条件として説明します。
「前職では夜勤や時間外勤務が多く、体調管理と仕事の両立について見直す必要を感じました。業務の優先順位を考えて行動するなど工夫してきましたが、今後は長く安定して看護業務を続けられる勤務体制を希望しています。勤務条件を確認したうえで、勤務時間内に責任を持って業務を行いたいと考えています」
子育て、介護、通院など事情がある場合は、必要な勤務条件を正確に伝えます。ただし、「残業は一切できない」などの条件がある場合は、応募先の勤務体制と合うかを面接で確認することが重要です。
業務が忙しすぎたことが理由の場合
忙しさへの不満だけでなく、どのような看護をしたいのかを具体化します。
「業務量が多いなかでも優先順位を考えて対応してきましたが、患者さんへの説明や退院後を見据えた支援に、十分な時間を確保したいと考えるようになりました。今後は患者さん一人ひとりの状態を丁寧に把握し、継続的な支援に力を入れられる環境で経験を生かしたいと考えています」
キャリアアップが理由の場合
「成長したい」とだけ言わず、身につけたい分野や、これまでの経験とのつながりを伝えます。
「これまで外科病棟で周術期の看護を経験してきました。今後は退院後の生活まで見据えた支援について学びたいと考え、訪問看護への転職を希望しています。病棟で培った観察力やご家族への説明経験を生かし、利用者さんが自宅で安心して療養できるよう支援したいと考えています」
契約満了、病院の閉院、配偶者の転勤などの場合
本人の努力では変えられない事情は、事実を簡潔に説明すれば問題ありません。
「有期雇用契約の満了に伴い、転職を希望しています。これまでの経験を生かして、今後は長期的に勤務しながら〇〇の分野を深めたいと考えています」
「配偶者の転勤に伴い、これまでの職場を退職しました。転居後の生活基盤が整ったため、看護師として再び勤務したいと考えています」
病院の閉院や事業所の移転など、自分の勤務態度とは関係しない理由は、無理に前向きな表現へ変える必要はありません。
退職理由を答えるときに避けたい表現
- 「給料が安すぎた」「人間関係が最悪だった」など、前職を強く批判する
- 「特に理由はありません」「なんとなく辞めました」と説明する
- 応募先でも解決できない不満だけを話す
- 事実と異なる理由を作る
- 長く話し続けて、退職理由が分からなくなる
退職理由を隠すために、すべてを「キャリアアップ」と言い換える必要はありません。面接では、退職理由を確認したあとに、勤務可能な曜日、夜勤の可否、ブランクの理由などを詳しく聞かれることがあります。答えに一貫性がなくならないよう、履歴書や職務経歴書の内容と合わせておきましょう。
面接前に準備しておく3つのこと
- 退職理由を1分程度で話せるようにする
理由を一文でまとめ、取り組みや転職後の希望を続けます。 - 応募先で実現できる内容か確認する
病棟の種類、看護体制、夜勤、教育制度、業務内容などを求人情報や面接で確認します。 - 追加質問への答えを用意する
「なぜ今なのか」「前職で改善しようとしたことは何か」「当院で何をしたいか」を説明できるようにします。
退職理由に体調、妊娠・出産、子育て、介護などの個人的な事情が含まれる場合は、話せる範囲で構いません。ただし、勤務に必要な配慮や勤務可能時間に関わる事項は、入職後の行き違いを防ぐため正確に伝えましょう。
看護師の転職面接では「不満」ではなく「次の職場での目的」を伝える
退職理由の答え方で大切なのは、前職への不満を並べることではなく、退職に至った事実と、転職後に目指す働き方を一貫して話すことです。人間関係や勤務条件が理由でも、改善しようとしたことや、長く働くために必要な条件を整理すれば、落ち着いて説明できます。
面接前には、「なぜ退職するのか」「これまでどう対応したのか」「転職先で何をしたいのか」の3点を紙に書き出し、応募先の仕事内容と結び付けて準備しましょう。







